不妊って、どういう状態のことをいうの?
この記事でわかること
- 不妊症の定義
- 不妊症は病気ではない
- 不妊症の増加の原因
この記事の信頼性
この記事を書いているわたしは、栄養士歴17年の元産婦人科勤務栄養士です。退職後はボディケアセラピストと並行してフリーランスの栄養士として母乳育児や妊活相談にのっています。
不妊症ってどういう状態のことを言うのでしょう?
「不妊」とか「不妊症」ってよく聞くけど、結局のところそれってどんな状態なの…?そんな疑問を持った人も、多いんじゃないでしょうか?
実際にわたしも何人もの人に
いつから病院行くのがいいの?
と聞かれたことがあります。
不妊症かどうかは、「妊娠しない期間」で判断するしかありません。不妊の理由や検査結果は関係なく単純に「一定期間妊娠しない状態」を不妊症と呼びます。
この期間は各国の学会が決めていて、日本産科婦人科学会は長い間「2年間」と定めていましたが、2015年に「1年間」に変更しています。この期間の根拠は、一般的に避妊をしていない健康な男女は1年以内に約8割、2年以内に約9割が妊娠すると考えられてきたためです。
そのため、避妊せず性行為を行うようになって妊娠しない期間が1年を超えると、自動的に不妊症と定義されてしまいます。
ただし、今の日本の場合、性行為の頻度が他国と比較するととても少ないため、一概にこの期間で不妊というのはどうかな?とは感じますね。
不妊症は病気なのか
「不妊症」と呼ばれるように「症」という字が使われているので病気なのかな?と思う人もいるでしょう。※「症」という字は「病気の性質・病気の様子」を表す字
不妊症は病気ではないけど、病気が不妊の原因になることもある
不妊症自体は、今の日本では病気と考えられてはいません。ただし、婦人科系の病気が原因で不妊となっている場合もあるので、その場合は病気の治療をする場合があります。その辺りがきっと、病気なのか?違うのか?迷うところではないかな、と思います。
「不妊治療」という言葉も、「治療っていうくらいだから病気?」というように病気を連想させる一因ではあると思います。病気じゃないのに治療って、よく考えるとちょっと変ですよね?
ちなみに、不妊治療をしようと病院に行った場合、最初に不妊検査をするのですが、これは「不妊症かどうか」を判断するための検査ではありません。
不妊症かどうかは前の項で挙げたように「妊娠しない期間」のみで判断されます。
じゃあ、不妊検査は何のため?
それは、こちらの記事↓で書いたような妊娠の成立のためにクリアしなければならない条件があるんですが、それを妨げているものがカラダにあるかどうか?を調べるためのものです。
https://yacco515.com/ninshin-shikumi/
ただ、妊娠のメカニズムってとっても神秘的というか、現代医学でも判明していないことがたくさんあるんです。
そのため、検査をして異常がなかったからといってすぐ妊娠できる…というわけではなく、異常が見つかった場合もそれを治療すれば即妊娠できる…ということでもないのでそこは注意が必要です。
とはいえ、検査を受けることでこの先気にすべきことがわかる場合もあるので、一概に無駄なものというわけでもありません。気になる方は一度パートナーと受けてみるのもいいと思います。
ただし、この検査が元で不妊の原因が相手にあると責めて関係が悪くなる場合もあるので、受ける前に、自分たちが本当に望んでいるのはこのパートナーとの夫婦関係を大切にすることなのか、ただ子どもが欲しいのか、この先のことをしっかりと考えてから受けることをおすすめします。
ちなみに、不妊症というとよく女性側の問題だと言われがちですが、WHOが示したデータによると検査によって問題が明らかになった割合は
- 男性に原因あり・・・24%
- 男女ともに原因あり・・・24%
- 女性に原因あり・・・41%
- 不明・・・11%
となっており、男性に問題がある場合も約半数あるといえます。
不妊症増加の原因
近年、不妊が増加していると言われています。医療の発達や不妊治療への補助もあり治療を受ける人が増えているのもありますが、不妊で悩む人そのものが増えているという話もよく聞きます。
その原因をちょっと考えてみましょう。
社会的要因
女性の社会進出が進み、それに伴って晩婚化が進みました。今も進んでいます。以前は20代で結婚・出産していた人が多かったのに比べ、現在では第一子の出産年齢が30歳を超えました。(平成30年 我が国の人口動態より)
1975年の第一子出産年齢である25.7歳は、大卒で就職した女性にとっては仕事が面白くなってきた年齢。ここで妊娠・出産を考えることは難しいでしょう。
また、女性でもキャリアを積むことが大切だと言われる現代社会では、仕事に夢中になるうちに20代後半、30代へと進んでしまうケースが多いです。その上、保育園の待機児童の問題や大学までの教育費の額が大きく取り上げられている今、結婚しても子どもを望むことに躊躇する夫婦が増えています。
経済的に少しゆとりが出てきたり、キャリアが落ち着いて将来について考える余裕ができて妊娠を望むようになった女性の多くは30代であり、中には30代後半、40代に入ってから妊娠を考える女性もいます。
肉体的要因
肉体的に女性の妊娠・出産に適した年齢は20代前半と言われています。その点だけでも30代に入ってから妊娠を望むのが難しいことであるのがわかると思います。
女性の卵子というのは、女性がお母さんのお腹の中で胎児だった時にその元である卵母細胞が一生分が全て作られ、卵巣の中で休眠状態に入り目覚めるのを待っています。休眠期間が長くなればなるほど、卵子自体の年齢も上がってしまうということになります。
卵子の年齢が上がれば、その分受精・着床率は下がります。
それだけでなく、社会的要因とも関係がありますが、不規則な食生活や睡眠、飲酒や喫煙、座りっぱなしのデスクワークなどで肉体的・精神的に多くのストレスにさらされています。
それらが原因となって女性は子宮・卵巣・ホルモンといったさまざまな部分でいわゆる婦人科系疾患を抱える人も多くなり、男性は精子に問題を抱える人が増え、妊娠の妨げになっていると考えられています。
夫婦関係の課題
こちらのグラフは、コンドームメーカーで有名な相模ゴム工業の調査結果からわかる相手がいる人の1ヶ月の性行為の回数です。
もうひとつ、こちらのデータもご覧ください。
少し古いデータになりますが、こちらのDurex社(イギリスの大手コンドームメーカー)の調査結果によると、日本の性行為の頻度は世界各国と比べてとても少ないです。
この理由も、肉体的要因と同じように社会的要因とも大きく関わりがあると言われています。特に都会では、満員電車で長時間の通勤に加え遅くまでの残業、また満員電車に揺られて帰る夫婦に、どれだけのゆとりが持てるでしょう?
そして結婚後早い時点で不妊治療へと進むことで、性行為そのものを夫婦で楽しむ余裕もなくなり、更に頻度が落ちるという悪循環が生まれています。
病院へ行って不妊治療に取り組むことも大事かもしれませんが、その前にまずは、ご自身の生活を整えて肉体的・精神的にゆとりを持てるよう取り組んでみませんか?
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